初めてこの靴を見た時、すぐに欲しいと思った。ただスニーカーにしては値段が高く、サイズも2サイズ以上大きかった。店員は中敷きを入れると大丈夫ですよと言う。実際に中敷きを入れて履いてみると、ハイカットで足首がしっかりと締め付けられることもあって、意外にブカブカ感はなかった。問題は値段だった。1万円程度のスニーカーを捜しているのに、2万6千円は無理というものだ。
この靴の気に入っているところは、フォルムの美しさもあるが、アッパーの皮が柔らかくて皮底であることだ。パトリックはこの靴を出した頃、何種類か皮底のスニーカーを発売している。
いずれもワンランク上のスニーカーとして発表したのだが、高いという理由からか置いている店は少なかった。そんな中、家から歩いて行けるところにある靴屋にパトリックのコーナーがあった。そして、この靴が置いてあったのだ。初めてこの靴を見てから1年半が経っていた。靴屋には同時期に発売した皮底スニーカーが3種類あった。いずれも魅力ある靴だったが、アッパーの皮の柔らかさやデザインの良さから、やっぱり買うならこの靴だと思った。
それからさらに2年半たった頃、たまたま覗いたその靴屋で、この靴は売れ残りセールにかけられていたのだ。サイズはやはり2サイズ大きかった。でも中敷きを入れれば何とか履けることは分かっていたので、すぐに買った。うれしかった。この靴を履く運命にあったのだなんて思ったりもした。思えば、この靴に出会ってから4年が経っていた。

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