阪急十三駅の改札を出てすぐ右手に横丁があった。名前は分からない。幅は3メートルくらい長さは50メートルくらいの小さな横丁である。駅前とあってか、はたまた十三という地域柄なのか、朝から立ち飲み屋は盛況で、映画の前に覗いたときにいた客は、見終わって食事をして駅に帰り着いたときにもまだ賑やかに飲んでいた。まだまだ腰を上げる雰囲気はなかった。酒飲みとはそういうものらしい。一緒に映画に行った酒飲みの友人は、恨めしそうに見ていた。
横丁を先に進むと韓国料理の店が軒を並べていた。ここでもコリアンパワーは勢いを見せていた。さらに進むと懐かしい感じの文房具店があり、隣にはピンクの壁とテントが昭和そのもので、名前も「夕映」、いかにも演歌な感じのスナックがあった。
外観から想像するに、ドアを開けるとカウンターの一番奥の椅子に腰掛けた初老のママから、酒焼けの声を響かせた「いらっしゃい!」が聞こえて来そうである。
その横は散髪屋でブルーのテントにはTIGERの文字。全体にタイガー感がないのはどうしてだろう。たまたま定休日なのか、はたまた営業そのものを止めてしまったのかよく分からなかったが、妙に存在感のある店舗だった。二階、三階とあって住居になっているようでもあった。何となく人が暮らしている感じがしなかった。店前のピンクの自転車はこの家のものではないのだろうか。
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