船町を道なりに一周するつもりでぐるりと回ったところに「船町渡船場」があった。渡し船はちょっと前に出たところで、対岸の鶴町船着場に着いて乗客が降りていた。時刻表をみると15分待てばいいと分かったので待つことにしたが、料金表示はどこにもない。無料なのだろうか。午後遅い太陽は、大阪湾から足の長いオレンジ色の光を投げかけていた。
渡し船は運河を円を描くように運航しているようだ。確かに最も効率のいい動き方だろう。しばらくすると休憩を終えた船員が事務所から降りてきてエンジンをかけた。客も乗船し、向こう岸から離れた船は半円を描いて船町側にやって来た。5分とかからない。降りてきたのは学生とおばさんで、こちらから乗船したのは我々を除くと一人だ。自転車ごと乗船できて無料だった。渡し場の階段を登って護岸壁を越える。運河を渡って着いたところは、船町とは別世界の「人の暮らし」が息づく町、鶴町だった。
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