国道24号を越えて永和に入った。横沼から真っ直ぐに続く通りである。通りの両側に商店が建ち並んでいるが、半分くらいはシャッターを降ろしている。先に進むとトンネルでも待ち構えてるかのような暗い通りに行き着いた。元々公設市場があったアーケード街である。アーケードといっても薄汚れたテントシートで通りの上を覆った時代物の設備だから、光がほとんど入らない。商店も半分以上がシャッターを降ろしているので、本当に暗いのだ。それでも元気にお店を開いてるところもあって、中には露天商のようにシャッターの前に台を置いて品物を並べている店もあった。閉店した店先を借りて商売をしているのかと思ったら、降ろされたシャッターの一枚が半分くらい空いている。どう見ても店の中から出してきて並べたようだ。どうして? なぜ店の中で商売をしないのだろう。店の中には世間には知られたくない秘密でもあるのだろうか。 アーケード街の奥まったところに駄菓子屋があった。

ここだけは子供たちで賑わっていた。隣の閉店した店の前にもゲーム機やワゴンを出して、景気の良さを誇示しているようにも見えた。男の子が二人、ゲーム機を前に考え込んでいた。小遣いをもらって勢い勇んでやって来たのだが、一回分のお金しかないのか、どれで遊ぶべきかを相談しているようにも見えた。その気持ち、分かるよ、分かる! もうちょっと貰えば良かったのにね。せめて2回分…。

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