昨年の秋、友人から電話があった。「モリヘイ屋敷の中を見学できるらしいぞ。4年ぶりのことだから、この機会の逃すと次はいつになるか分からないんだ」とのことであった。近鉄・長瀬駅前に住む友人の家からは歩いて5分程度の場所、周囲を圧倒する長い塀に囲まれたモリヘイ屋敷とは「森平蔵」氏の自邸のことだった。長瀬界隈では知らぬ者はいない、地域の誇りのような邸宅で、住民からは「モリヘイ屋敷」の呼び名で親しまれてきたらしい。友人は大阪市内から長瀬に引っ越したとはいえ、元々この辺りの生まれ、長く過ごしてきた地でもある。なので、気軽に「モリヘイさんの家」なんて呼んでいた。
昭和14年に完成した材木商「森平蔵」氏の自邸は、なんと7年の歳月を費やして建てられたのだそうだ。ま、それだけでもその豪壮さは分かろうというものだ。現在は、森平蔵氏が創立した樟蔭学園に引き継がれ、「樟徳館」として維持管理されている。
屋敷公開は2日間で、我々は初日の開門を待って、お屋敷内に足を踏み入れたのだ。友人にとっては、幼い頃から畏敬をもって眺めてきたモリヘイ屋敷の中を初めて眼にする瞬間だった。さぞや心ときめくものがあったに違いない。
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