古い町並みがどんどん姿を変えている。キチンとした都市計画に基づいて一気に進めているわけではない。そこに住むそれぞれの事情があって、土地を手放すことになったり、あるいは新しいビルを建てることになったり…。
しかしながら、古い町並みが変わっていく様は「元々の住人がどうにかした」というより、金儲けのための容赦のない地上げや追い出しによって、小さく区分けされた土地をまとめ上げ、開発会社という輩に転がされたあげくの姿にしか見えないのは、私だけだろうか。
谷底の家はこうした経済活動から取りこぼされた結果として、生まれたのだと思う。それにしても情け容赦のない仕業だ。こうしたことは都会の密集地に暮らす者の定めではあろうが、人情深き下町だったところが、金儲けだけを目的にした者達に蹂躙されていくのを、ただ見ているしかない自分にも腹が立つ。
このページの写真はいずれも安堂寺通り周辺で撮った。人は暮らしているようだ。特に左下の写真で思うのだが、私にとっては小さいながらスゴイ存在感である。間口は一間しかない。江戸話に出てくる長屋一軒分の幅もないのだ。表のガラス戸を通して中庭らしきところの植生が見えるし、明るい陽射しも落ちているようだ。それなりに楽しく暮らしているのかも知れない。が、以前よりは確実に住み辛くなって、耐えてる感に溢れているように私には見える。
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